スノーボードの危機

平岡選手の飲酒ひき逃げに続いて、国母和宏氏の大麻密輸の報道は日本のスポーツ界におけるスノーボードの評価を地に貶める程のインパクトだった。

 この競技はそもそも遊びのところから競技スポーツへと昇華していったもので(とはいえ、どんなスポーツでも最初は遊び、ゲームのレベルから徐々にルールができ、競技スポーツとして洗練されていった過程は同じようなものか)オリンピック種目となった今でもなんとなくアウトローなイメージがつきまとっていた、というか今でもつきまとっている。

バンクーバー五輪で国母選手が腰パンスタイルで物議をかもした時にスノーボードに対する大人の目線は他のウインタースポーツとは一線を画するものとなってしまった、ような気がする。

 それから8年、平野歩夢選手の健闘によってスノーボードハーフパイプ)のイメージが極めて好意的なものになったのは感慨深い。別に僕はそれまでスノーボード競技にたいして興味があったわけではなく、平昌五輪の場でも、凄まじい髪型に競技中でもイヤホンつけっぱなしで音楽聴きながらランをする彼の有り様は所謂五輪のアスリートとしては失格のスタイル(国母の腰パンとさほど変わらない)だったはずだ。

 ただ、圧倒的な技と、寡黙な彼の人柄が共感を呼び、彼は五輪のヒーローとなった。と同時にスノーボード、と、あのスタイルがほぼ万人に認知された瞬間でもあった。

 対する国母氏もBack countryスノーボーダーとして人間業とは思えない技術を持って今やその世界では第一人者だ。

 言いたくはないが、やっぱりね、、、という声が聞こえてきそうだ。