採点競技は、、、

 平昌オリンピックスノーボードハーフパイプで、平野歩夢選手は、王者ショーン・ホワイトに挑むため、その前年に完成させた(が、それの失敗で17年のシーズンに大怪我を負った)FSダブルコーク1440 + CAB ダブルコーク1440 で決勝の勝負に出た。それもその直後に1260の連続技をつけたtotal 5回のヒットのみ。このプロトコルは、オリンピック直前のX-gameで成功させ、前人未到のトリックとして優勝を飾ったものだ。

 決勝の最終走者はショーン。ショーンは1440に挑戦していたが、成功したことはなかったはず。ところが、最後の一発で、ショーンはFSダブルコーク1440 CAB 1440を成功させてしまった。しかも、一つのインターバルを挟んで(これで高さを稼いだのだが)1260 の連続技をもつけ結局金メダルを獲ってしまった。

 スノーボードハーフパイプでのジャッジは、かなり主観的なものだそうで、技の正確さなどの明快な基準があるわけではない。後日、ショーンの1440はボードをグラブしていなかった、ということがスロービデオで明らかとり、平野の1440のほうが質が高かったというわけだ。1440のあとの1260も平野はそのまま連続技として続けたので難易度がより高い。ショーンはインターバルを鋏み、高さを一度リカバリーしているので簡単な1260を飛んだとこの競技をよく知る人達は平野選手の方が圧倒的に難しいことを正確に演じたとしてジャッジミスと指摘している。

 僕はスノーボードに関してよく知らないので、言われてみれば成る程、というくらいの感想しか持てないが、平野選手の心の中は知る由もない。が、彼の敗戦の弁として、この決勝の最後の試技で、ショーンがFS1440+ CAB1440を持ってきたことが全て。やられました、と讃えているのが凄いと思った。ショーンが、この局面でこの技を持ってくることが予想外であったことは間違いなく、仮に不完全なものであっても彼がそれをやった、ことが敗北と認めるあたりが競技者としての平野選手の矜持だったのだろう。

 採点競技は難しい。さて、フィギュアはどうだろうか?